第一章:襲撃

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20分ほど経った頃、事務所のドアを叩く音がした。なんとか茶菓子を見つけれた為、何の心配もなくジュンはドアを開けた。 すると早苗が事務所に入ってきた。少し会っていなかっただけのはずだがもう何年も会っていない“お姉さん”のような雰囲気を感じた。 「ワタヌキくんに奈緒ちゃん!久しぶり~!元気にしてた?奈緒ちゃん、ちょっと大きくなったんじゃない?嬉しいなぁまた会えて」 早苗は本当に嬉しそうに事務所を見回した。が、少しずつ表情が曇っていった。 「早苗さん……?あ!一郎さんはまだ帰っては……」 「う、うん!わかってる!忙しいもんねあの人。……やだ、そんなしんみりしないで!あたし全然大丈夫なんだからさ!」 早苗は笑っていたがそれが無理にそうしているだけだとジュンにはわかっていた。 早苗は本当は一郎に会いたいのだ。
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