第一章:襲撃

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日がすっかり落ちた頃、人通りの少ない路地を2人の男女が歩いていた。 「あー疲れた。やっぱ俺、勉強向いてねーよ……」 その男の方は桐咲 一輝(キリサキ カズキ)。 一輝は探偵事務所に居た頃の特徴的だった髪を切り、今ではすっきりした短髪になっていた。それもこれも医者になる勉強をするため大学に入ったのだがあの髪型ではさすがにまずかったらしく切ってしまったのだ。 「向いてねーも何も医者ンなるんだろ? だったら勉強しろよ一輝」 そして一輝と肩を並べて歩くこの金髪ロングヘアの美人の名前は 桐咲 恭子(キリサキ キョウコ)。 桐咲家の長女であり、桐咲総合病院で看護婦として働いている。しかし普段の乱暴な口調やヒョウ柄のコートなどの派手な格好からはこの人が看護婦だとは想像もできない。 姉弟が歩く路地は人通りが少なく街灯もあまりない暗い道なので一般人はあまり通らないのだがこの2人は喧嘩っ早いため『来るなら来い』と威嚇するような目で、たまにすれ違うガラの悪そうな人々を睨みながら歩いていた。
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