5207人が本棚に入れています
本棚に追加
/1017ページ
「あの……水樹さん。この人の名前わかります?」
「はい。それはもう。何かあってもこの人なら助けてくれる…そう感じたんで名前はよく覚えています。
坂崎 一郎(サカサキ イチロウ)さんです」
内心、『正解!』と思っていたが口に出すことは出来なかった。何故なら一郎はもうここにはいない。“Ⅹ”との戦いに決着をつけるために海外にいるのだから。
しかしなぜ一郎に…?
ジュンの興味はそこに向いた。
「水樹さん、『何かあっても助けてくれる』って……一体何が?」
水樹は今までと一転、悲しげな表情を見せポツリと呟いた。
「……殺され……」
「え?」
「あ。いいえ気になさらず……ううっ…
す、すいません。あまり気には…」
涙を拭う水樹を見てジュンは聞いてはいけないような事を聞いてしまったような罪悪感に駆られた。しばらく考えたがやがて一つの道を見出し、遠慮がちに口を開いた。
「……水樹さん。あなたが探している坂崎さんは今、いません。名刺をよく見てください。この子は実は坂崎 一郎さんの娘です。今、彼は大事な仕事を片づけるため外国にいます。
ですから……
『坂崎 一郎を探す』のは無理なんです。しかしその代わりに一つ……」
「え?な、なんです…」
「坂崎 一郎に頼むつもりだった仕事を俺達が片付けます。どうですか?」
最初のコメントを投稿しよう!