第二章:誘導

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「そうだね。とにかく……」 早苗が自分の考えを口に出しかけたまさにその瞬間、事務所の扉をノックする音がした。 一同の顔が一気に焦りの色を帯びる。 「……俺が開ける。姉貴達は下がってろ」 一輝は拳を握りしめて扉を力任せに開いた。すると『ガン』という音が響き扉の向こう側にいた人間はおでこを押さえながら今にも襲いかかってきそうな一輝を制止した。 「待ってください!僕は怪しい者じゃありません。少し悪いとは思っていましたがあなた達の事が気になって事務所までついてきたんです」 「は?あんた誰だ?俺らのって……ジュンの知り合い?」 男は首を横に振った。 「いえ、先ほどあなたとその女性が男達に襲われていたのを見たんです。 あ。すいません。先に自己紹介をしておきます」 男はシワ一つない背広の胸ポケットから名刺を一輝に手渡した。
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