第二章:誘導

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「もしもし僕だ。明日、彼らを事務所から連れ出す。事務所を出てから一時間後に連絡を入れるから事務所の中を徹底的に探せ」 守谷は事務所を出てすぐに電話をかけ、繋がった途端に一気に頭の中にある言葉を並べてみせた。 『守谷さん?彼らに接触したんですか?』 電話の相手は少し興奮気味の口調で訊ねてきた。 「ああ。前田 早苗にも会った。君が言っていたより彼女はずっと頭が回るように感じたよ。 やはり9年間という時間の流れは人を大きく変えるみたいだな」 『……まさか。彼女は神野や守谷さんはもちろん、私にも遠く及びませんわ』 「そうやって余裕を見せていると足元をすくわれるんだ。金魚のナミダを手に入れるまでは絶対に気を抜くな。 僕は今から帰って寝る。車を用意させてくれ。明日からが本番だからね」 『はい。わかりました。それでは失礼します』
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