第二章:誘導

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「それじゃあたしはそろそろ帰るよ」 最後の一本のタバコを灰皿に押しつけると恭子はあくびをして扉に手をかけた。 「待てよ姉貴!俺も帰……」 「お前は明日皆さんと一緒に行くんだろうが!?ここに泊まれよ。夜中に誰か来てもアブねーしな」 「だったら姉貴もいろよ!」 「あたしは明日も仕事で忙しいんだよバーカ。んじゃ!皆さん一輝をよろしくお願いしますね!」 最後に強烈な営業スマイルを見せて恭子はさっさと帰ってしまった。 「なんか一輝のお姉さんって感じの人だなぁ……」 特に無責任そうなところが。 「まあな。つーか待てよ?今日は早苗さんもここに泊まるんじゃ……」 「当たり前じゃん!さぁて……朝までたっぷり語り合おうか……?」 不気味な笑顔を浮かべる早苗を見て一輝の顔はみるみる青ざめていった。 翌日、一輝とジュンが寝不足でつらい思いをしたのは言うまでもない。 奈緒は前髪で目を隠して寝たため、翌日も元気たっぷりだったが。
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