第三章:帰還

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「稲葉さん、怪しい物が!」 部下の一人が机の引き出しから箱を見つけて稲葉のところに駆け寄ってきた。稲葉はその箱をひったくり、観察を始めた。 「なんだこれは……?」 「わかりませんが……その箱、箱の中にもう一つ箱が入っているんです」 稲葉は怪訝な表情で箱を開いた。 確かに箱の中にはもう一つ箱が入っている。中にあった箱を開けようとしてみるが鍵のようなものがかかっていて開かない。 「なんだこれは……確かに怪しいな。金庫の類だろうか?」 「どうでしょう?」 「うーむ……まあいい。これは少し私が調査するからお前は引き続き捜索を続けろ」 「了解」 稲葉は箱を回したりしていろいろな方向から観察するが特別な仕掛けがあるわけでもなさそうだ。 「とにかく報告しよう」とイスに再び腰を下ろしたとき、後ろで扉が開いた。
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