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「流れ星でも見えないかな……見えたその瞬間に願い事叫んでやるのに」
周りに木がない開けた丘の上に腰を下ろし、早苗は空を見上げていた。空には星がまばゆい光を放って輝いている。
「もし一人じゃなかったらロマンチックな雰囲気出るんだけどな……」
自分では精一杯アピールしてるつもりだが一郎には届かない。何が悪いのかわからない。何が良いのかもわからない。
自分は一郎にどう思われているのかなど想像もつかない。
もしかしたら『ただ自分にまとわりつくうっとうしい女』程度にしか思われていないのかもしれないのだ。
9年前の事件で自分をかばってくれた一郎……光の事を忘れた日はなかった。姿を消してからも、ニュースで死んだと聞いてからもずっともう一度会えることを願っていた。
早苗は本当に心の底から神野 光に恋していた。
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