第四章:恋心

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「願い事があるというのは良いことです」 隣に腰を下ろしながらそう言う守谷に、早苗はぶすっとした表情で答えた。 「それが叶わない願いでも良いこと?」 「世の中に叶わない願いなどないと僕は思います……ただ、願い続けられるかどうか。願い続ければ必ず願いは叶うけど、願うことを止めればそれは願い事ではなくなり、永遠に叶うことはなくなる」 「……難しいね」 「理屈の問題ですよ。叶うのは願っていたからで、叶わないのは願いが足りなかったから。……この意味、わかります?」 守谷の言葉に早苗は首を傾げるばかりだった。 「わかんないよ」 しかし願い続けることで必ず叶うのならばそうあってほしい。早苗は密かにそう願っていた。
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