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「もしもし。守谷だが」
守谷は星の見える丘から離れると、テントをたてている方とは逆の森に入って電話をかけた。
「少し電波が悪いが聞こえるな?先ほど前田 早苗にも僕の事を信じ込ませることに成功した。これで僕は誰に何の疑念を抱かせることもなく、行動することができる。
そちらはどうだ?……“金魚のナミダ”は見つかったのか?」
『いいえ……それどころか、数人の同志が逮捕されてしまいました』
聞き慣れた女の声だが、若干焦りを帯びたような口調だ。
「逮捕?どういうことだ?物色中に通報されたのか?」
『いいえ……その、なんと言えばいいか……。………。実は……神野 光が事務所に帰ってきまして……』
「なんだと?」
守谷は緊張感が一気に高まるのを感じた。
神野 光が日本に帰ってきた……こちらの行動を読まれていたのだろうか?しかし慎重に慎重を重ねてきたはずで、どこにも情報が漏れるわけがない。
「神野が日本にいるとなると……」
最大の懸念はワタヌキ ジュン達と連絡を取っていることだ。
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