第五章:上回る者

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『プルルルル』 30分ほど前に電話が切れてから誰から何の連絡もなかった一郎の携帯が振動した。一郎は待ってましたとばかりに電話を取り、荷物を詰めている桐生に『静かに』と唇に指を当てる。 「もしもし坂崎です」 『……初めまして坂崎 一郎さん。こうしてお話出来ることを光栄に思います。僕の名は守谷 心です』 聞き慣れない声の電話の相手はこちらを嘲るような口調で話してきた。さらに一呼吸おいて相手は続ける。 『ワタヌキさん、坂崎さん、桐咲さん、前田さんの身柄はこちらで拘束させていただきました。僕は彼らに危害を加える気はありません。ですがあなたが僕の要求を呑まないようなら躊躇なく殺します。あなたに拒否権がないことを自覚してください』
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