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『それは人質を殺していいという意味か?』
長い沈黙を破ったのは守谷だった。やはりどれだけ考えても一郎の抵抗の理由はわからなかったのだ。
「殺したかったら殺していいけど奈緒ちゃんがもし鍵をどこかに隠していたらその時は知らないよ。もちろん奈緒ちゃんには他人には絶対に鍵を渡してはいけないと言ってあるから生かしてても簡単には渡してくれないだろうけどね」
そういうことか。
あるかどうかも怪しい鍵ではあるがもし本当に坂崎 奈緒が持っているあるいは持っていたとすればそれを聞き出すまで殺すわけにはいかない。もちろん坂崎 奈緒以外に手を出すのもダメだろう。万が一、他の誰かに預けたりしていたら……
戸惑う守谷に一郎はとどめをさす一言を口にした。
「まあ、奈緒ちゃんを尋問にかけるとしても『絶対に誰にも渡すな』ときつく言ってあるから鍵を渡すどころか知っている素振りも見せないかもね」
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