第五章:上回る者

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つまりこういうことだ。 一郎曰く 『坂崎 奈緒が“金魚のナミダ”を保管する金庫の唯一の鍵を持っている。だから自分に渡せと言われても渡すことはできない。そして坂崎 奈緒はもしかしたら鍵を隠したり、信用している他人に預けたりしているかもしれない。さらに尋問にかけても知っている素振りすら見せないかもしれない。 これを理解した上で殺したいなら人質の奈緒達を殺せばいい、と』 話を聞くだけでは限りなく嘘っぽいが、相手が相手なだけに守谷はその言葉を無視できないでいた。どうしても「もし本当なら」という考えが頭をよぎる。 だが守谷もやられっぱなしで退くわけにはいかなかった。
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