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しばらく時間を空け、水樹が落ち着きを取り戻したところで再びさっきの話の続きを始めた。
「……じゃあ水樹さんにはその人が自殺する理由、心当たりがあるという事ですよね?」
「はい。騙そうとしたりして本当に申し訳ないです……ですけど彼が自殺するなんて認めたくなかったんです。だからウソをついてしまって」
水樹は心底悲しんでいるようだ。
それほどその人が大切な人だったのだろう。
「実は彼は死んでしまう少し前から私に婚約を解消しようと言い出したんです。最初は嫌われたのかと思ったのですが彼は私を嫌った風ではありませんでした。
ですから、私は結婚したいの一点張りで婚約解消なんて認めませんでした。
そして事件の前日にも同じやり取りをして……つい私もカッとしてキツくあたったんです。
今……考えたら、私が彼を自殺に追いやった気がして………うっ……」
辛そうな顔でそう言い、水樹は涙を流し始めた。
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