第五章:上回る者

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「つまり“金魚のナミダ”を確実に手に入れるまでは殺さない、と。確かに……そうですね。もし襲撃に失敗してしまった時、彼らを利用しなければいけなくなるかもしれませんからね」 2人がささやかな茶会を開いて10分ほど経っただろうか。守谷の携帯が鳴った。コールしているのは一郎の事務所に向かわせた部隊の者だった。 「守谷だ」 『あ……守谷さんですか!?今、金庫を確保しました。神野が想像以上の抵抗をしたため3発発砲、神野は気を失っています』 これを聞いた瞬間、守谷は狂ったように笑い声をあげた。 勝った!神野に!あの生意気な探偵をついに仕留めた! 守谷にとって“金魚のナミダ”は神野を倒した証程度のもので、日本一の探偵と言われた神野 光を負かしたことが何よりの吉報だったのだ。
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