第六章:伏兵

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「動くな」 両手に構えた銃を広いアジト内の人間に向け、桐生が言った。物陰にいた白衣を着た男がこそこそ別室に移動しようとする。すると…… 『ドウン!』 「おい、そこの。動くんじゃない。両手を頭の上にあげて部屋の真ん中に集まれ。妙な動きをした奴から撃つぞ」 慣れた様子で内部の人間を誘導する桐生。ここにいる連中が武器を持っていないのはわかっていた。全て守谷の部下に“聞いた”からだ。そう、事務所を襲撃してきた連中である。 「この部屋はOKだ一郎。しかしこんなことするなんて正義の味方か悪の親玉かわからないなお前も」 一郎は照れ笑いのつもりか、笑いながら頭を掻いた。またお決まりの照れ笑いの振りだ。桐生はいちいち突っ込むのをやめて銃を構えていた。
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