第六章:伏兵

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素早く全ての銃を回収して奥の部屋に投げ込む一郎。男達は自分達の迂闊さを悔やむ間もなくあっという間に勝機を失った。 腕を撃たれてもがき苦しむ者。重量感たっぷりの金庫を間抜けにも両手に抱えている者。それぞれ立場は違えど皆、共通して一つの疑問を持っていた。 「俺はたまたまこいつの可愛い娘さんを見に日本までやってきた、言わば通りがかりさ」 その疑問を見透かし、答える桐生。 「さて、じゃあ金庫の人達はそのまま金庫を抱えといてください。で、こちらのリーダーさんにはまだやってもらうことがあります」 一郎は男に『守谷に連絡を入れ、“作戦”が成功したと伝えろ』『今からアジトに連れていけ』『アジトに楽に侵入する方法を教えろ』の三つを要求した。 「状況を自覚して行動してくださいね」 悪魔の笑みを浮かべながら。
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