第六章:伏兵

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「朝日さん!」 「とりあえず包帯代わりになる物を巻かないと。出血が酷い」 なぜ持っているのか、一郎はポケットから大量のハンカチを取り出して朝日の傷口に縛り付けた。 「命には別状ないだろうけど……ここに長居するのは良くないな。守谷が気を失っている間にここを出ようか。こいつは何をするかわからないからね」 一郎は朝日を背中におぶり、地上への階段を上り始めた。奈緒、一輝、桐生もそれに続く。早苗はその場で呆然としていた。守谷に騙されたこと……それが悔しいわけじゃない。 自分の考えを弄ばれたことが何よりも早苗は悔しかった。
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