第二章:到着

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「ナオちゃん!いい加減行くよ」 「あっ!は~い」 水樹の実家はこの辺りではどうやら少し有名らしい。水樹と聞けば大抵の人がわかるくらいの大きな家に住んでいるようだ。 とにかく寒いし、腹も減ってきたのでさっさと水樹の家を探したいところだ。ジュンは水樹にもらった地図を頼りに慣れない雪の上を滑らないよう注意して歩いた。 しばらく歩くと、周りと明らかに違う“お屋敷”が目に入った。といってもまだかなり遠い。……にも関わらずその屋敷はそれでも大きな建物だとわかるくらいでかいものだった。 「あれかぁ。めちゃくちゃでかいじゃないか!でも建物の作りが柳田組のお屋敷に似てるな」 「水樹さんも案外、親分のムスメさんとかかもしれないですよ」 「いやいやいや……それはちょっと嫌だなぁ。なんかヤクザ絡みの人とはもうあんまり関わりたくないのに……」 ああ、気が重い。 水樹がヤクザのムスメではないことを祈りながらジュンは屋敷へ向かう足を早めた。
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