第三章:可能性

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「むー……確かに自殺っぽいですねぇ。 あっ!この樹を登って塀を乗り越えて外に出たとかはどうですか!?」 「そんな形跡はないそうです。塀の外にも足跡はありませんでしたし塀の上にも足跡はありませんでした」 (やっぱりか) ……となると完全に他殺の線は消えたことになる……のだろうか。いろんな可能性を探ってみるが全くダメだ。 「そもそも足跡は行きの分だけですから、彼は一人でこの樹の下に来たことになります。 やはり……自殺……なんでしょうか?」 ジュンは考えた。一郎さんならどう言うだろう?これだけ他殺は考えられない状況になっても自分が他殺だと考えていたらなんと言うのだろう? 恐らく……あの人なら…… ジュンは一郎を真似るように頭をポリポリ掻きながら答えた。 「今はわからないですけど……水樹さんが他殺だと思うなら俺もそう思って調査します」 (これでいいのかな?) どうも納得いかない顔をしているジュンの後ろでは、奈緒がどこか嬉しそうにはにかんでいた。
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