第三章:可能性

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「……ありがとうございます」 水樹は目に涙を浮かべながらジュンに頭を下げた。慌ててジュンもなぜか頭を下げ返す。なぜか奈緒も頭を下げていた。 「とにかく湿っぽくならないでいきましょうよ!じゃあワタヌキさん、これからどうしますか?私が先輩としてアドバイスしてもいいですよ!」 「あ、じゃあお願い」 「………。水樹さん、この池ってなにかいるんですか?」 (あれ、無視!?) 「ああ、そこには鯉がいますよ。いつも父が朝早くに餌をあげるんです。この時期は餌をやる必要ないんですけどね。鯉の食欲は無いに等しいですから。 そういえば彼の死体を見つけたのも父が鯉に餌をやりに庭に出てきた時らしいです」 少し興味深い。というかこれは聞くべきだろう。 「朝早くに餌をあげに来る。そして餌をやりに来たときに死体を発見したってことは……死亡したのは夜の間ですか?」 「さすが探偵さん!はい。多分、夜中の間に死んだんだと思います。確か、23時から雪が降っていなかったらしいので23時から父が鯉に餌をやりにくる翌朝5時までの間だと思います」
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