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「ところでナオちゃん、お腹減らない?
もう昼だしご飯でも…」
ジュンはそう言うと早足で冷蔵庫に駆け寄りニヤつきながら扉を開けた。
だが冷蔵庫の中には想像もできないような空間が広がっていた。
「ナオちゃん」
「はい~」
「冷蔵庫がキレイに空っぽなんだけど…
いやほんと新品なんじゃないかってくらいにキレイに……」
念の為、新品かどうか確認してみたが……どうやらお馴染みのオンボロ冷蔵庫のようだ。
ジュンはため息をつくとお菓子でも入っていないかと今度は食器棚を物色してみる。だが……
「ナオちゃん」
「はい~」
「食器棚も空っぽ……って食器は?
ま、まさか!」
そのまさかだ。流しには汚れたまま置きっぱなしにされた食器が散乱しており、中にはカビのようなものが生えている物もある。
ついでにゴキブリの死骸も混ざっている。
「これはダメだろ!食べ物もない、お菓子もない、ついでに食器もない!
でもゴミは腐るほどある、いやむしろ腐ってる!」
「ワタヌキさん思い出しました!」
奈緒が『ひらめいた!』というように手をポンと叩いた。
そしてポケットから財布を取り出し中身をジュンに見せる。
「お金もこの諭吉さん2人だけです!」
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