第六章:一服

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部屋から出ると世界が変わったように景色が変わる。和を追求した廊下に、体が凍り付きそうな冷たい風。 そもそも客室だけはこの屋敷から隔離されているかのように見事に洋風だ。 だが特にそんなことは気にせずジュンは風呂を探して歩き始めた。すると前から不愉快なものが向かってくるのが目に入った。 メイドである。 ジュンは180°方向転換してメイドに見つからないよう足を早めたが時すでに遅し、メイドはジュンの存在に気付くと全力でこちらに向かって走ってきた。 「ちょっと待ってくださいなぜ私を避けましたか?」 「いや……避けるなんてとんでもないです。俺はただ風呂を探していただけですよ!」 「しかしそちらは浴場ではないのです。場所を知らないなら私が案内いたしましょう!」 ジュンはもう少し上手い嘘をつけばよかったと後悔した。
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