第七章:閃き

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「私……最近思うんです。もし私が涼太をあきらめていれば彼は死なずにすんだんじゃないかって。いえ……死ななかったに違いないんです。 “私と関わったせいで”涼太は死んでしまった……」 (私と関わったせいで……?“私と”……) ドクン…… ジュンは自分の心臓の音が大きくなるのを感じた。その音はどんどん大きさを増し、やがて周りの一切の音が聞こえなくなった。 そして頭の中に次々と“情報”が浮かんできた。 『私はそうは思ってないんです』 『足跡も“行き”の分だけで……』 『彼が自殺するはずがないんです!』 『婚約を解消しようと』 『彼は私を嫌った風ではありませんでした』 『彼は金髪で、顔中メイクしていて』 『彼はすごく大人しいし』 『足のサイズなどから恐らく本人のモノ』 『この池ってなにかいるんですか?』 『父が朝早くに餌をあげるんです』 『23時から翌朝5時までの間』 『私が知らない彼の悩みを知っているのは彼らだけ』 『どうしても彼女と付き合うのは無理になった』 『なんで涼太さんは“水樹さんの家”で死んでたんですかね?』 『俺の覚悟は決まった。後は彼女の気持ちで“これから”を決める』 『旦那様の洗濯物がなぜか多かった』 『洗濯物を溜めるなんてあり得ない』 『旦那様が1日に2回、服を変えたのよ!』 『あんな“チャラい”お嬢様』 『女湯で欲情しないんですか?』……これは違う。 『ついこの間風邪をひきまして』 『30年ぶりに寝込む羽目に』 「もしかして……全部……繋がった?」
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