第七章:閃き

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「この屋敷で働くメイドさんの話によると事件翌日の“ご主人”の洗濯物がいつもより多かったとか。メイドさん曰く、『旦那様が1日に2回服を変えた』そうです。 さらに同時期に普段風邪をひかないような人なのに寝込むほど体調を崩した人がいる。……俺はその人が犯人だと思います」 「そんな……嘘でしょう……?涼太を……涼太を殺したのはお父さん……?」 「でもなんの証拠もないですし……ただの俺の仮定ですから……」 「…………ワタヌキさん、明日の朝8時、父の部屋に来てください。そこで……話をつけましょう」 必死に涙をこらえながらそう言うと水樹は屋敷へ駆け込んでいった。 雪はすっかり止んだが、風がより一層冷たくなった。ジュンは空を見上げると静かに部屋へと帰っていった。
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