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「いらっしゃいませー!」
いつも来ている小さなスーパーに入ると見慣れたパートのおばさんが元気良く挨拶をした。
「さーてナオちゃん、諭吉さんは2人しかいないんだけど何を買おうか」
「諭吉さん2人じゃ2ヶ月しか生活できないですねぇ……お菓子とかは……?」
「ダメだと思うよ……」
奈緒はシュンとしていつの間にかカゴに入れていたお団子を棚に戻した。
「い、いつの間に……!
でも本気で来月どうしよう。というか今月も乗り切れる気がしない…」
「確かに……何か仕事しないとダメですねぇ。あ、でもバイトしちゃうと事務所が空いちゃうし……もぉ~八方塞がり!四面楚歌!背水の陣です!」
「いやいやいや。事務所は誰も来ないしちょっとくらい閉めてても…ああ、ダメだよなぁやっぱり。一郎さんってどうやって生計立ててたんだろ」
「そういえばそうですよね。どうやってたんだろ…」
(なんだ知らないのか)
とわずかながら返答に期待していたジュンは『参った』と言わんばかりに頭を掻いた。
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