第八章:雪解け

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ジュンが部屋に戻ると入浴セットを抱いたまま奈緒がベッドに倒れていた。 (そういえば風呂に呼ぶの忘れてた!なんか悪いことしたなぁ……) 罪悪感を感じながら、テーブルの上に目をやるとカップになみなみと注がれている紅茶が目に入った。 (だから何がしたいんだよあのメイド!人がいないときにまで嫌がらせか!? ……ん?なんだあのベッドの上の黒いの) 自分のベッドの上に黒光りする何かを見つけて恐る恐る顔を近づけてみるとすぐにそれが何かわかった。 リアルなゴキブリのおもちゃだ。 冷静にそれを払いのけ、布団をめくるとゴキブリのおもちゃが山ほど詰まっていた。 (突っ込みに困るんだよ!なんだよこの量!どこで買ったんだよ!……ん?) バタンッ 今、振り向いた瞬間にドアの隙間からメイドが覗いていた気がしたが……気のせいだったのだろうか? いや、気のせいだったんだ。 ジュンは自分にそう言い聞かすと無言でゴキブリのおもちゃを蹴り飛ばし、やっと長い1日を終えた。
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