第八章:雪解け

11/24
前へ
/1017ページ
次へ
「何が見えたというのかな?そんな適当なことを言ったって勘違いは勘違いなのだがね」 「ほら、また見えましたよ!『勘違い』って言うときに体が緊張してますよ?」 「だ、だから私は殺していないと言っているん……」 雪満はこの時、奈緒の力に気付いたのか、言いかけてから口を手で急いで覆った。だがもう気付いたときには遅かった。 奈緒がにっこりと笑う。 「殺していないっていうのは嘘ですよね?私には嘘がわかりますから。殺していないが嘘なら殺しているが本当。 そうなんでしょ水樹さんのお父さん?」 「う……」 雪満は口をパクパクさせたがやがて力なくうなだれ、下を向いてしまった。 奈緒はジュンにガッツポーズを決め、ジュンもそれに応える。 しかし嬉しそうな2人とは裏腹に冷子は妙な胸騒ぎがおさまらないでいた。
/1017ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5207人が本棚に入れています
本棚に追加