第八章:雪解け

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(確かに奈緒ちゃんはウソを見破れるからなんて言ってもなんの意味もない…… もっと具体的な証拠を出さないといけなかったんだ!何かないのか……何か……) 「じゃ、じゃあ事件当日に雪満さんの分の洗濯物が多かったことや、ほとんど風邪をひかなかったのにその時だけ寝込むほど体調を崩したことはどう説明するんですか!?」 ジュンは思いつく限りの疑問を雪満に投げかけたが、雪満は薄ら笑いを浮かべながらそれに答える。 「洗濯物?ああ、たまたま庭で転んだときに泥が付いたんでね。服を変えたのだよ。 風邪については、体調を崩すのに理由がなくてはダメかね?」 雪満の答えは至極、簡潔で否定のしようがないものだった。もちろんこれもウソなのだろう。奈緒が悔しそうに歯を噛みしめているが指摘したところで意味がない。 ジュンがあきらめかけて下を向いたその時、後ろでふすまが開く音がした。
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