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「おやおや探偵さん、しけた面がより湿っぽくなっておりますわ」
「……メイドさん?」
メイドはいつも通りクスクス笑いながらジュンの目の前に紅茶を置いた。その紅茶は例の如くなみなみと注がれていた。
「……アヤ、もう話は済んだ。紅茶は彼らの部屋にお持ちしてあげなさい」
雪満にそう言われるとメイドは冷たい表情をしながら立ち上がり遠くを見るような目をして雪満の方を向いた。
「話……終わったんですか……
……あ、実は私もそこにいる子と同じでウソがわかるんですよ」
「何?」
「旦那様はさっき『服に泥がついた』って言ってましたけど……私の記憶によると洗濯物は泥ではなく水浸しになっていたようですが」
「な、何を言ってるんだ?お前も根拠のないデタラメを言うのか?そんな何日も前の洗濯物が水浸しだったかどうかなど……」
「……いえいえ旦那様、恥ずかしがらずに本当の事を仰ればよろしいじゃないですか?『朝、鯉に餌をやりに行ったときに死体を見つけて驚いて足を滑らせ池に落ちた』……と」
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