第五章:奇人

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が、一輝の反応速度が僅かに伊東のそれを上回った。後ろ襟を掴まれ、服が首を絞める。決着は一瞬でついてしまった。 「なんだっつーんだ。で、先生と早苗さんはこんなとこで何してんの?」 「後でゆっくり教えてあげるよ。とにかくその人を離しちゃダメだよ。逃げ出したってことは相当やましいことがあるらしい」 一郎の言っていることはさっぱりだったが、とりあえず言われた通り伊東を羽交い締めにする。こうなってしまってはいくら暴れようと拘束を解くことはできない。 「さ~て伊東さんよォ……なんで逃げたのか答えてもらうぜ?しっかり筋の通った弁明をしてくれるよな?」 ぎくっとした顔。 しかし伊東は一筋の汗を垂らしたが、何も話そうとはしなかった。 「ワタシには黙秘する権利がありマス。 だ、大体……宇宙からの指令なのです!ワタシは荷物検査を受けるわけにはいかないのです!」 らちがあかない。 鬼塚も早苗もそう思った。 だが一郎がこの電波女との均衡を崩しにかかった。 「黙秘する権利か。だったら僕と勝負しようじゃないか。僕がいくつか君に問題を出す。君はそれに答えるだけだ。簡単だろう?」
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