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「降ってきやがった」
瞬は窓に目を向けた。
大分、激しく降っている。
降り始めて間もないのに、窓が滝の様だ。
太陽が隠れた性か、辺りが一気に暗くなった。
さっきまで明るかった廊下が、今は闇の中へと伸びている。
その闇を見た瞬は、悪寒を感じた。
今にも引きずり込まれそうで、目を反らす事が出来ない。
その時、瞬の肩に何かが触れた。
「っ!!?」
「…何、驚いてるんだ?」
それは凜子の手だった。
「驚いてねぇよ!」
「まぁそんな事より、ライター持ってないか?」
「ライターなら持ってるが、煙草でも吸うのか?」
「これだ、これ!」
凜子は手に持っていた物を、瞬に見せた。
それは三股の燭台だった。
「こう暗いと、足元も見えないからな」
瞬はライターを取り出し、燭台に火を燈した。
辺りが淡く、明るくなった。
「所でこんなもん、何処から持ってきたんだ?」
「テーブルの近くに置いてあった。多分、飾りの一部だろう」
凜子がそう言いながら、給食室の中を指差した。
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