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   燭台の明かりで、淡く浮かび上がる室内。   「手分けして探そう」 「ちょっと待て、俺は明かりが無い」 「確かもう一つ燭台があった筈だ。それでも使え」    そう言うと凜子は、給食室の奥を調べ始めた。  瞬はライターの明かりを頼りにテーブルへ近付き、燭台を探した。   「おい、ねぇぞ!」 「良く探せ!」    ライターの明かりでは、手元が良く見えない。   「こんなんで、探せるかよ…」    瞬がそう呟くと、パッと手元が明るくなった。   「何を、探しているんですか?」 「っ!!?」    突然、耳元で声が聞こえ、瞬は飛びのいた。   「な、何だ、お前か…。脅かすな!」 「すみません…」      そこに立っていたのは『あやめ』だった。  手に懐中電灯とランタンを持っている。   「それで、何を探してたんですか?」 「え、あ、あぁ。明かりが欲しくて、燭台をな」 「それなら、これをどうぞ」 「あぁ、ありがと」    瞬はあやめからランタンを受け取った。   「所で、名竹さんは?」 「凜子なら奥に、ってあれ?、凜子?」    先程まで、そこに居た凜子の姿が見えなかった。   「凜子!?」 「何だ!」    返事が後方から返って来た。    
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