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    「あーうん。そう、おれ。……なんだ、リンコも来たんだな。ってか全然変わってないじゃん、なつかしー」  一瞬、戸惑うような色を見せたシュンは、まるでそれが幻だったように顔を笑みでいっぱいにすると、例の威嚇する鳥のような歩き方で凛子の前までやってきた。  プシューと、空気が抜けるような音がして、乗車口が閉まる。車体を揺らし、バスが走り出す。  凛子は思わず、目の前のシュンを頭から足の先までまじまじと眺め回してしまった。 「きみは、ずいぶんと変わったな」 「男前になっただろ」 「馬鹿そうになった」 「……口の悪さも相変わらずなのね、リンコは」  目を半眼にしたシュンは、口の中で文句を言いながら、断わりもなく凛子の隣に腰を下ろした。  彼……春瀬瞬(はるせ しゅん)は、凛子と同じ、佐原村分校の最後の卒業生だった。やはり凛子と同じように、分校を卒業してからは都会の高校に進学したはずだ。  彼と最後に会ったのは、分校の卒業式だった。  あの頃の瞬は、髪をそめていなかったし、学生服のボタンを一番上まできちんとはめているような少年だった。なのにこの変わりようはどうだろう。凛子はただただ驚くしかない。    
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