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マティアスという名前を聞いた時の先生は驚きと怒りも感じさせる形相だった。いつも優しくて冷静な先生が…一体どうしたと言うのだろうか…俺はそんな先生がちょっと恐かったが、唾を飲み込みマティアスを見つめ、先生に言った。
「…この人はもう死んでるよ。先生はこの人を知ってるの?」
死んだと聞くと先生はため息をつき、右目に装置している片眼鏡を整え答えた。
「…いえ、ちょっと名前を知ってるだけです」
先生は自身を冷静にさせようとしているのか…それともマティアスが死んだことにホッとしているのか…俺はルナに聞いてみた。
「ルナはこのマティアスとこんな所で何をしていたんだい?」
ルナは俺のほうを向いて答えた。
「…彼が最後に見たがってた場所に連れて来たの」
ルナは相変わらず無表情だ。だが、シグナス先生は見ようとはしない。先生自身が嫌なのではなく、先生の服装や十字架の装飾を恐れているように見える。変わった子だ。
すると突然シグナス先生はルナの方まで勢い良く向かって行き、ルナの両肩の端を強く掴み、ルナの真紅の瞳を睨み付け怒鳴るように聞いた。
「それだけではないはずだ‼ヤツと何を企んでいる‼言え‼」
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