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先生はまだしばらく黙っていた。俺も言葉が思いつかなくなっていた。すると先生は頭を上げて笑顔で言った。
「ええ…そうですね。ではルナは今日から私達の家族です」
俺は喜んだ。
「やった‼」
ルナともっと仲良くなりたかったから…何故かわからないがルナと一緒に居たかんだ。ルナは申し訳ないのか申し入れを断ろうとする。
「でも、私は…」
何か言いかけていたが俺は強引に連れて行こうとして笑顔で、ルナの手を握った。
「遠慮しないで行こうよ‼先生の家に‼」
ルナの手は凄く細く綺麗でスベスベしていた。綺麗な手だが冷たい手…俺は女の子の手なんか握ったことはないが、女の子はみんなこんな手触りなのだろうか?と疑問に持ちながらルナの手を引っ張り先生の家に向かおうとした。
先生はまだしばらく難しい顔で立ち尽くしていた。俺は先生を呼んだ。
「先生‼何ししてんだよ‼早く行こうよ‼」
先生は俺の呼びかけに笑顔で答えた。
「ええ…しかし、この男性の遺体をこのまま置いておくわけには生きませんよ。それは聖職者である私には恥ずべき行為です」
シグナス先生らしいもっともな言葉、そして、先生は続けて言った。
「…それに、私は帰り道がわからなくなってしまいました」
俺は動きが止まった。
「え?」
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