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夢魔のアリア†
~その頃シグナスの家では留守番のみんなでシグナスとシーザーの帰りを待っていた。談話室でボブが椅子に座り、両手を後頭部に回してボーッとしている。レキも椅子に座り、得意なペン回しをしながら暇つぶし、クレアが窓から見たことのない不気味に上がった月をみながら心配そうに呟いた。
「先生とシーザー遅いね。ご飯冷めちゃうよ…」
シグナスの家ではみんなで家事をする。“連帯”がこの家ではモットーである。そして食事もみんなで一緒に取る。だからみんなはシグナスとシーザーが帰宅するまでは食事は取れない。
シグナスの家は1階に聖堂と調理室や談話室がある。2階に寝室があり、2階からでも聖堂の渡り廊下に出られるようになっている。
ルーシーが2階の寝室から一人降りてきた。クレアはルーシーに振り返って聞いた。
「キリトは大丈夫?」
ルーシーはクレアに答えた。
「眠ったわ。キリトはいつものことだから心配しないでって…」
そう、キリトは病弱なのだ。彼だけはみんなと同じように行動は出来ない。だからみんなと一緒に遊ぶことはほとんどなく、家で読書をしていることが多い。
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