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ルーシーが目をキラキラさせながら言った。
「でも、吸血鬼ヴァンパイアって魔性の美しさを放つ紳士だそうよ。きっと素敵な殿方よ」
ボブは女性陣二人に呆れた。
「ふぅ…馬鹿みてぇ…先生はどう思う?」
シグナスは黙ってうつ向いた。シグナスは両方の拳を強く握りしめている。まるで怒ってるようだ。クレアがシグナスの様子を見て言った。
「先生?…どうかした?」
シグナスは「ハッ」と我に帰り、自分を見つめる少年少女達をキョロキョロ見渡し、ニコリと笑顔を見せながら言った。
「ええ…きっと迷信です。子供をしつける為の迷信に違いないでしょう」
ボブは勝ち誇ったような顔でクレアを見つめた。
「ほ~ら、シグナス先生様のお墨付きだ」
クレアはまたムッとした。そして一人でズンズンと家に歩いて行った。
「もういいわ。早く家に入りましょう」
シグナスは右目にしている片眼鏡を右手で整え、無言でみんなに背を向け、シーザーを探しに向かった。少年少女達は吸血鬼の話になると少し様子が変だったシグナスを案じながらシグナスの姿が消えるまでその背中を見つめた。
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