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皆が見守る中、シグナスは森の中に入りかけてピタリと足を止めた。そしてみんなに背中を向けながら言った。
「ところでクレア…何故“ガリバルディ大聖堂”に?私はあの大聖堂には近寄らないようにと言いませんでしたかね?」
クレアは冷や汗が垂れた。他の皆はそそくさと家に入ろうとした。
「いや、その…は、はは…」
クレアはその肩までの短い髪をいじりながらはぐらかそうとする。シグナスは微笑んだ。
「シーザーも含め、皆お仕置きですね」
ボブがその巨体を繰り出し、反論した。
「先生‼俺は止めようとしたんだよ‼」
それに対し、小柄なルーシーがその縦ロールの入ったエレガントな自慢の髪を揺らしながらボブに向かって反論した。
「ちょ‼…大体ボブが言い出したんじゃないの‼」
みんながみんな責任の押し付け合いをしている姿を見てシグナスは妖しく微笑んだ。
「…連・帯・責・任・…です。皆さん」
皆愕然とした。シグナスのお仕置きは余程怖いようである。その頃、“ジクルムント”の樹海をさ迷う少年がいた。
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