ガリバルディの中庭†

6/6
前へ
/574ページ
次へ
癖のある髪型、男にしては小柄。だが、真っ直ぐな目をしている少年はジクルムントの樹海で迷子になっていた。   「ちっくしょう‼完全に迷ってしまった‼」   俺の名は“シーザー”15歳だ。名字は…知らない。俺には両親はいないからね。みんなそうさ。ボブもレキもルーシーもクレアもキリトもみんな…俺らはみんな孤児なんだ。親の居ない俺らをシグナス先生に引き取ってもらったみたいだ。だって俺らには記憶はないから状況はよく知らない。シグナス先生も40歳になるのに奥さんも子供も居ないんだ。だからシグナス先生は俺らが子供みたいなものかな? …っとそんなことはいいや…それより此処は何処だ?もとはと言えばみんなが俺を馬鹿にするからさ、そう…俺はみんなと浮いてるんだ。俺はみんなから仲間外れにされてる。何が浮いてるのかって言うと色々あり過ぎる。まあ、俺もみんなと馴れ合うつもりはないけどね。だから一人になってやったのさ…このまま本当に家出してやろうかな…   しかし、その時、あたりが暗くなり始めた人気のない樹海で声が聞こえた。   「凍りついた街並み…消えかけの足跡…」   寂しい歌声…女の人…女の子の声だ。何故こんな樹海で女の子が歌っているんだ?すぐ近くだな。俺は声の聞こえたほうに向かった。
/574ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加