第一章"教会"

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 ここからは、信者達が一人、一人祭壇に祈りを捧げて、教祖様に挨拶をしてから、家に帰っていく時間だ。 (それにしても、年層がハッキリと別れているなぁ…  いつも来てる「ジョージ夫妻」は、二人とも九十以上のご老人、…だけどすごい元気。)  私がそんな事を思っていたからか、腰の曲がったジョージ夫妻がクラウン様の目の前に立っていた。 「クラウン教祖様、今日もありがとうございました。」  ゆっくりとした口調でお婆さんが話した。 「また、よろしくな」  お爺さんは元気のいい声でそう言うと、二人は、ゆっくり一礼した。  …すると二人はすぐに顔を上げニッコリ笑った。 「でも、遅刻はよくないぞ、来週は飲みすぎないようワインは、一本だけにしときなさい」  お爺さんはそう言うと、人差し指をピンと上げた。 「わかってますって、でもせめて二本と半分にしてください」  クラウン様は、笑いながら中腰になり、指を二本出した。 「ジョージさんも、飲みすぎには注意しましょうね」  私も笑いながら言った。 「大丈夫!私が飲ませやしないよ!」  お婆さんは腕を大きく上げて、ガッツポーズ…本当、元気だ。 (嫁さんに、尻ひかれてますね)  クラウン様はお爺さんの耳元で、そうささやいた。 (どちらかといえば鬼に尻ひかれてるだ。)  お爺さんは、半笑いをしながら喋った 「なんか言ったかい?」  お婆さんは[ボキボキ]と両手の指をならした。 『いえ、何も』  二人とも背筋をピンっと張り硬直した。 (あれ?ジョージさん腰を悪くしてたんじゃ…まぁ、治ったんでしょう…多分)  私は疑問に思ったが聞かないことにした。   (確か最年少だと… 六歳の女の子のいる、「エミリア一家」、必ず家族全員で礼拝に来てくれます。特にこの女の子、クラウン教祖様が大好きみたいで、会うたび抱きついてます)
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