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…ダダダダダダ!!
突然、遠くの方から足音が鳴り響いてきた。
「クラウン様ぁ~~こんにちわぁ~~」
ミールは小さいながらもすごい跳躍力で、あっという間にクラウン様の首に飛び付いた。
「げふっ!!い、いつも元気だなぁミールは…」
クラウンサンはそう言うと、苦しそうな顔をしながら、ミールちゃんを抱き抱え、頭を撫でた。
「いつもすいませんね、クラウンさん。…痛くありませんか首?」
エミリアさんは笑いながらも心配そうな声で話し掛けた。
「えぇ、大丈夫です」
クラウン様は苦しそうだが、笑ってごまかした。
「ほら、ミール!そろそろ離れなさい」
ミールちゃんのお父さんが、手を差し伸べた。
「えぇ!!やだ!!」
ミールはさらにきつく、クラウン様の首に抱きついた。
「うぅ!」
クラウン様はさらに苦しそうな顔になった…
(クラウン様…ファイトです)
私は声に出さずに、心の中で応援した。
結局、ミールちゃんは五分くらい、がっちりとクラウン様の首にしがみ付いてました。
「ハァ、ハァ…」
クラウン様は、少し息があがってしまった。
「あ、そうだ…
これどうぞ、ジャガイモの料理よ。よかったら食べてくださいね」
エミリアさんはエプロンのポケットから、プラスチックの箱を取り出しクラウン様に手渡した。
(やった!エミリアさんの料理だ♪
涙がでそうなくらい、おいしいんだよね)
私は心の中で、喜んだ。
「いや、いつもありがとうございます」
クラウン様は受け取ると、すごくうれしそうな顔になった。
「いいえ~、あまり物ですから」
エミリアさんはお淑やかに笑った。
…すると、突然ミールちゃんが私の服を引っ張って呼んだ。
「ん?なぁに?」
私はかがみミールちゃんの顔を見た。
(ホントはねぇ
あまり物じゃないんだ。今日、作ってきたの)
ミールちゃんは誰にも聞かれないように、私の耳元で小さく喋った。
(えっ!本当?)
私は驚き、ミールちゃんの顔を再度見た。
(ほーんと、ミールもお手伝したもん)
ミールちゃんは、歯を見せながらにっこりと笑った。
(お手伝いできるようになったんだ、偉いねぇ)
私も、ミールちゃんの頭を撫でてあげた。
「エッヘン♪」
ミールちゃんはニッコリ笑った
(なんだか…悪いなぁ。今度お返ししないと)
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