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「あ、歩! どこ行ってたんだよ? 待ってたんだぜ」
「あぁ、慶太。待っててくれたのか。悪いな」
教室に入ると、我が高校一の有名人こと岩瀬慶太が俺の席に腰掛けていた。
有名人の理由はもうすぐわかるだろう。
「早く帰ろうぜー」
「あー…悪い。ちょっと用事ができ……っていうか、それより真美はどうした? 」
「えー、今日は歩と帰るぅー」
あら、きもちわるい。
ガラガラガラッッ!!
俺達が話をしていると、教室のドアがかなり乱暴に開いた。
「けいちゃーん、一緒に帰ろうよー!」
慶太をけいちゃんと呼ぶ人間は一人しか知らない。さらにこの無駄にデカい声。
「ま……ぐぇ!」
真美は持っていた鞄を投げ捨て慶太に飛びついた。抱きつかれた慶太は何処かに何かが当たったのか悶絶している。
「けいちゃーん♪」
このテンションが異常に高い佐倉真美は、俺と慶太のいわゆる幼少時代からの幼なじみだ。
昔から遊ぶ時は必ず慶太と真美と俺の三人だった。
真美はその時から慶太の事が異性として好きで俺のことは眼中にすらなかった、と俺は思っている。現状を見ればわかる通り、あながち間違いではないだろうな。
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