松本さんのクィーンズシート…初体験

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そういえば… 女のシアワセって何だ? お金?美貌? いや違う、愛だ、愛して愛されることだと思う。 あぁヤバい。 妄想モードに突入か? あれ? 回想だな、これは↓↓↓  若い頃は シアワセって愛する人との結婚だと思ってたなぁ。 とにかく、好きで好きで 『これは愛するってことなんやぁ』 と思ってた人がいた。   その人…松本さんは私より7才年上で 高校を卒業したばかりの私には とても大人に見えた。 タバコを吸う仕草もステキだった。 人差し指と中指の間に深くはさみ 顎をすっぽりと隠すようにタバコを吸っていた。 少し首をかしげて 憂いがかって見えてまたよかったのだ。   会話は聞いていて楽しかった。 松本さんが同僚と話していると いつも笑い声が聞こえた。 時折エッチなことも話していた。   「この間、ツレとラブホを見に行ったんよ、そしたらさ…」 ん?ツレ?彼女…! その時の私は、ツレは友達だとわからなかった。 私が住んでいた所では ツレはツレアイで奥さんのことだったから ツレと聞いて彼女のことだと勘違いして しばらく落ち込んでいた。   わりとすぐに 友達だとわかったけど。   見た目も会話もいい お金も持っていそう。 だから…モテた。 俳優で例えるなら 水谷豊。 その頃(20年前) クラウンに乗ってたというのもポイントが高い。   松本さんの黒のクラウンの助手席は クィーンズシートで彼女以外は乗せないことで有名だった。 みんながそのクィーンズシートに乗りたがるのだけど 歓迎会や送別会などの職場行事に参加する時でも 絶対に助手席に人を乗せなかった。   でも そんな松本さんのクィーンズシートに座る彼女のことを誰も知らなかった。   どこの誰なのか 何才でどんな女性なのか 職場の誰も知らなかった。 松本さんの友人に聞いても知ってる人はいなかった。 そんな謎めいたところも 松本さんの魅力に見えた。 少なくとも私には。     人見知りしてしまう私は なかなか松本さんに近づけないでいた。 彼女がいるという松本さんのことを 彼女を見るまであきらめられないくらい好きになったくせに。     今みたいに携帯があればきっと 勇気を出して番号を聞いたりしたんだろうけど。
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