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聖暁(セイキョウ)学園高校の修学旅行は変わっている。
水島賢司は見渡す限りの山々にため息をついた。
平均より10㎝ほど背が高く、少し薄めな茶色の髪。
大人びた顔立ちのくせ笑顔に愛嬌があるバスケ部員だ。
無意識だろうが、無意味に体を寄せてくるのがちとウザイ。
窓側に座る木原真史は、体重をかけてくる友人を押し返した。
「そういうのやめろよ。女子の一部に萌えられて楽しい?」
中肉中背。
髪は少し猫っ毛でくせ毛。
とりたて美形ではないが、人好きする笑顔が癒し系の少年である。
「ばーか。女子にやったらセクハラとかチカン言われるじゃんか」
「その自覚ある行為をオレにしてる事がむしろヤバいっての」
この高校の修学旅行は三年の春に行なわれている。
「だってさ。修学旅行って言ったらさ、海外とか、京都奈良、広島長崎、北海道、沖縄とからしいのにさぁ・・・なんでウチのガッコはどこかよくわんねぇとこなワケ?」
「わかんねぇって、しおり読んでないのか?」
「ないな。しおり読んだら、攻略本見ながらRPGと同じだ。俺のポリシーに反する」
「ゲームじゃなくて修学旅行だから」
あきれたように木原は水島を見る。
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