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「お前さ、自分がどう思われてるのか考えたことないだろ?」
「自分が、どう…ですか?
確かにないですけど…」
「やっぱな。
あのさ、お前のこと心配してるヤツだってちゃんといるんだぞ?」
「はぁ…」
「犬さんとか千種さんとか髑髏は勿論、守護者の皆だってなんだかんだ言いつつも心配してるし」
「どこがですか。寧ろ敵視してるように見えますけど?」
「皆素直じゃないからねー…ってそうじゃなくて」
ひとつ咳払いをして、オレは話を続けた。
「だから、もっと他人<ヒト>を信じろよ」
「!!」
骸が目を見開く。…そんなに驚くことか?
「オレはマフィアのボスで皆はそのファミリーで、お前らはマフィアを憎んでて……確かにオレらは相容れない存在かもしれない。
でも、立場とかなしに一人の人間<ヒト>として一緒にいることは許されるだろ?
誰も信じるなって誰がいったんだよ。
お前は、自分で作ったルールで自分をがんじがらめにしてるだけだよ」
その鎖をほどくのは、難しいようで簡単だ。
綻びを見つけるまでの道のりは遠いけど、それを見つけたらすぐにほどける。
なにより、本人が救い<ヒカリ>の手を求めているから。
「一人で堪えるなよ、骸」
骸に巻き付いていた鎖、が。
どこを引っ張ってもダメだった鎖、が。
音を立てて、ほどけていった気がした。
骸のオッドアイから、涙が流れ出た。
「…始めてですよ、そんな事を言われたのは」
「…………」
「そして、久しぶりに泣いた気がします」
「…今なら、オレ以外見てないよ」
「えぇ…貴方になら、涙を見せても良いような気がします」
「骸…」
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