ドリーマー

4/6
前へ
/42ページ
次へ
「お前さ、自分がどう思われてるのか考えたことないだろ?」 「自分が、どう…ですか?  確かにないですけど…」 「やっぱな。  あのさ、お前のこと心配してるヤツだってちゃんといるんだぞ?」 「はぁ…」 「犬さんとか千種さんとか髑髏は勿論、守護者の皆だってなんだかんだ言いつつも心配してるし」 「どこがですか。寧ろ敵視してるように見えますけど?」 「皆素直じゃないからねー…ってそうじゃなくて」   ひとつ咳払いをして、オレは話を続けた。   「だから、もっと他人<ヒト>を信じろよ」 「!!」   骸が目を見開く。…そんなに驚くことか?   「オレはマフィアのボスで皆はそのファミリーで、お前らはマフィアを憎んでて……確かにオレらは相容れない存在かもしれない。  でも、立場とかなしに一人の人間<ヒト>として一緒にいることは許されるだろ?  誰も信じるなって誰がいったんだよ。  お前は、自分で作ったルールで自分をがんじがらめにしてるだけだよ」   その鎖をほどくのは、難しいようで簡単だ。 綻びを見つけるまでの道のりは遠いけど、それを見つけたらすぐにほどける。 なにより、本人が救い<ヒカリ>の手を求めているから。   「一人で堪えるなよ、骸」   骸に巻き付いていた鎖、が。 どこを引っ張ってもダメだった鎖、が。 音を立てて、ほどけていった気がした。 骸のオッドアイから、涙が流れ出た。   「…始めてですよ、そんな事を言われたのは」 「…………」 「そして、久しぶりに泣いた気がします」 「…今なら、オレ以外見てないよ」 「えぇ…貴方になら、涙を見せても良いような気がします」 「骸…」
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加