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数日後。
ボンゴレ十代目の元家庭教師は、任務で日本、それも並盛へと赴いていた。
いつも通り任務を終わらせると、時刻はもう7時。今から帰っても、着くのは夜中だ。
彼はホテルは携帯でボンゴレ御用達のホテルにチェックインして(因みにこの近辺なら、ボンゴレの名前など出さなくとも雲雀恭弥の名を出せば大抵のホテルに泊まれる)、向かうさきは――
「久しぶりだな、ここも」
――『竹寿司』。
大事な教え子の、大切な人の家。
とは言っても、表には客がいるので、今いるのは裏口だ。
そこで、家の中には気配がない野球少年、否、野球青年を、待った。
数分が過ぎた後、久しく感じていなかった気配を感じた。
「!…小僧じゃねーか、なんでここに?」
昔とは大部変わった外見に動じず、薄暗い蛍光灯だけが頼りの夜の闇の中で、正確に相手の正体を言い当てる。前の彼なら出来なかったであろう、常人離れしたそれ。
「届けもんだ」
どうやらあの強さは、衰えるどころか更に上がったようだ。
そう思いつつ、懐から封筒のない手紙を取り出して、渡す。
「お前の、大切なヤツからだ」
はっとしたように、背に昔と変わらぬバット入れを背負った彼が、顔をあげる。
「正規のもんじゃねーが、確かにアイツが書いたもんだぞ」
それだけ言って歩き出し、硬直している彼の横をすり抜けた。
追求を許さぬように背けられた背中は、しかし、どうするかはお前が決めろと、確かに言っていた。
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