唯、一つ

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何が、とも。 何故、とも。 アムロには聞けなかった。 ただ分かったのは、ニュータイプじゃなくても分かる程の真面目で真摯な感情だけだった。 慌てて顔を上げたアムロは、目の前に居た女士官の顔にドキリとする。 『本当に』 ごめんなさいと、涙一つ見せずに謝るクリスに、アムロは本気を感じた。 ―何に謝っているのかは、知らない。 でも、きっと。 彼女には必要で、大切な謝罪なのだろう。涙なんか簡単に流せない程の本気だ。 妙な雰囲気で見つめ合う二人の間を風が撫でていく。 『―それじゃ、私はこれで』 ひとしきり、気が済むまで謝ったクリスはそっと立ち上がり、来た時と同じ様に、グリーンスペースから姿を消した。 結局、彼女が連邦初のガンダムのパイロットであると、アムロが知ったのは随分後だった。 そして、一年戦争末期に自分が乗る筈であったガンダムのテストパイロットであるとも。 何でも、ジオンのMSザクⅡとの戦闘を派手にやらかして、機体を大破させてしまったそうだ。 彼女があの日、謝った理由がやっと分かったアムロは、空を見上げた。 自分と同じ、ガンダム乗り。そして、彼女自身は気付いてない―と云うか知らない―様だったが、大切な人を失くした人物。 自分や、もう一人のガンダム乗りとあまりにも似ている、過去。 もう、一度。 そうもう一度。 彼女に会って話がしたい。 随分と前に願う事を諦めた頭でアムロはそう思った。       To nextstory・・・
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