なくしたもの

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 なにげなくカレンダーを見た。あの人が私の前からいなくなって一週間が経過した。まだ、ショックから立ち直ることができない。  まだ、部屋の中は薄暗い。家具があることは分かるが、それがなんなのか具体的に認識する事はできない。  食事もほとんど喉を通らず、この一週間で水しかろくに飲んでいないような気がする。まぁ、そんなことはどうでもいいや。  ここは自分が住んでいるマンション。あれからは何事に対してもやる気というものが沸いてこない。生きるという事に対しても・・・。  学校も、あれから一度も通っていない。  涙なんてとっくの昔に枯れ果ててしまっている。  私はまた一人ぼっちになってしまった。  そんなことばかりが私の頭の中に浮かんでくる。  あの人が現れるまで、私の心は暗闇が広がっていた。金持ちの娘と噂が広まり、それにより人は集まってきた。  だが、全て金目当ての人達だった。家出をして、無一文に近い状態だとわかると、その人達は私の周りから姿を消してしまった。  
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