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結果は剛の高校が勝利した。
部員達の歓喜の声が響く。
涙を流して喜んでいるヤツもいる。
「……」
俺にはないもの。
それがここにはあった。
「よう。お疲れさん」
「來斗さん!」
車で待っていた俺に、剛が駆け寄ってきた。
「待っててくれたの?」
「まあな」
剛は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「ありがとう!あのね、勝ったんだよ!」
「知ってる。見てたから」
興奮しながら言う剛にそう伝えると、
「…え?」
きょとんとして一瞬動きが止まった。
「おめでとう」
俺は微笑み、頭を撫でた。
徐々に剛の顔が紅潮しだす。その緩みきった顔に思わず笑いが込み上げた。
「クス。帰るぞ」
「うん!」
剛は鼻歌まじりに車に乗り込んだ。
こういう所が、かわいくて仕方ないんだ。
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